3月30日から4月2日にイギリスのリバプールで開催された第4回「緑の党世界大会(グローバルグリーンズ会議)」2017に参加しました。正式な名称は「Global Greens & European Greens Congress 2017」。会議のテーマは『ローカルはグローバル』。グローバル化が進んだ今、地域の問題は世界的な問題とつながっています。例えば世界各地で異常気象を引き起こしている気候変動(地球温暖化)など。初日の集合写真で世界中から集まった参加者が作ったハートの中には「化石燃料(関連企業)への投資を引き上げよう!」のメッセージが。「Global Greens(グローバルグリーンズ)」は「グローバルグリーンズ憲章」(日本語)を共有する政治的ムーブメントのネットワークです。
開会式では、緑の党らしく女性たちが基調講演をリード。印象的だったのが、スウェーデン緑の党代表で副首相兼気候大臣のイザベラ・ロヴィーンさん。世界を席巻しているトランプ大統領(や安倍首相)に代表される排外的ナショナリズムやポピュリズム、権威主義的な極右政党の台頭にどう対抗するか。いまどうして緑の政治が必要なのかを、実際に6人の大臣が政権に入って重要政策を実現している説得力を持って語りました。例えば「2040年までに原発を廃止、再生可能エネルギーを100%」にすることや全大臣の過半数12人を女性にしたことなど。だから「政権に入る緑の党を世界中で増やそう!」と呼びかけました。貴重なメッセージを含む彼女の演説はここで聞くことができます。
『経済政策』に関しては「緑の価値はEU経済の転換戦略をガイドする」。ethical(倫理的な)投資、低炭素で持続可能性な経済、再生可能エネルギーへの転換などについて。スウェーデン緑の党の金融・消費者大臣のペール・ボールンドらが参加。「グローバル化された世界における緑の貿易政策」には英国、豪州、日本、カナダ緑の党代表が参加。TPPなどへの批判が。個人的には20年間関わってきた「農業の転換:グローバルな視点から」でのEUの気候に優しく持続可能な有機農業とオーガニック食品市場の話に注目!他にも様々なテーマの分科会や、欧州緑の党の総会や英国緑の党の総会なども同時並行で開催されました。その成果は大会の「リバプール宣言」として発表されました。
今回は世界中から集まった緑の党の代表や仲間たちに、脱原発政治の最前線である日本の様子を伝えることを目的に参加しました。具体的には、3月にコーネル大学から出版された菅さんが福島原発事故の事実を書いた英語本『The Nuclear Nightmare』や事故直後5日間の首相官邸と新聞記者の葛藤を描いた映画『太陽の蓋』を紹介し「なぜ日本は再稼働に向かうのか」について説明しました。映画は日本チームがスペイン緑の党と共催した分科会「原子力に頼らない平和と安全」で予告編を、別会場で全編の自主上映会を開催しました。これらの情報はイギリス、イタリア、ドイツ、アメリカ、豪州、欧州、韓国、台湾、モンゴル、ネパールの緑の党代表たちに直接紹介することができました。
第1回緑の党世界大会から、豪州緑の党元党首で上院議員だったボブ・ブラウンやクリスティーナ・ミルンと共にGGを引っ張ってきた「GGの母」ことマーガレット・ブレイカーズ。彼女が今回を最後に引退を表明、多くの関係者が彼女に感謝を捧げました。京都で開催された2004年「アジア太平洋緑の党連盟(APGF)」第1回総会や初のアフリカ開催だった2012年「GGダカール」も彼女が支えてくれました。世界中のグリーンズの頼れる相談役でもあったマーガレットが、GG会議が4地域を一巡したのを機に引退することには感慨深いものがあります。今後は、彼女の右側に写っているGGコーディネーターのケリ・イェンたち若い世代がリードします。第5回はAPGFがホストの予定です。
日本では、2012年に緑の党を設立して2013年夏の参院選に全国比例区で挑戦しましたが、力及ばす国会議員を誕生させることはできませんでした。その際に世界中の緑の党の関係者がサポートしてくれました。特にドイツ緑の党は熱心に支援してくれて2012年のハノーバーでの総会に招待してくれたり、議員を派遣したりしてくれました。何度も選挙応援に来てくれたのがベアベル・ヘーンさん。連邦議員団の副団長や環境・原子力安全委員会の委員長もされてきたベテランですが、2014年には菅さんを福島原発事故に関する委員会での証言に呼んでくれました。個人的に有機農業でのつながりも深いヘーンさんに、現在のドイツ緑の党の状況や欧州緑の党の裏話を聞くことができました。
イギリスでのGG会議に参加して、改めてヨーロッパでは社民党など中道左派政党と緑の党が(赤と緑の)連立政権を組んで新自由主義による経済格差、人権、脱原発や地球温暖化に対抗する政策を着実に実現していることに感動しました。自然エネルギーが30%に達する勢いのドイツも、赤緑の連立政権が2002年に2022年までの脱原発を決めました。トランプ大統領に象徴される排外的ポピュリズムやナショナリズムの嵐が吹き荒れている状況でも、このような政治が実現している国の選挙制度はすべて「比例代表制」です。「死に票」が多い非民主的な小選挙区制ではなく、民意を反映する民主的な選挙制度である比例代表制を一日も早く導入する方法を考えたいと強く感じた大会でした。