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Ifoamimages_2IFOAM(アイフォーム)とは、International Federation of Organic Agriculture Movements (国際有機農業運動連盟)の略称です。1972年にパリ近郊で設立されました。以来、世界中で有機農業の普及に努めてきた国際NGOです。IFOAMは、世界117カ国に約800団体のメンバーを持つ有機農業に関する唯一の国際統括組織です。http://www.ifoam.org/index.html

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IFOAMは、国連社会経済理事会(ECOSOC)に公式の諮問資格を持つ国際NGOです。IFOAMは、有機農業に関する基準(スタンダード)の国際標準化や有機農業を通じたアフリカ・アジア・ラテンアメリカ等の開発支援、生物多様性の保全に関する活動などをFAO(国連食糧農業機構)やUNCTAD (国連開発貿易会議)、UNEP(国連環境計画)など国際機関との協力において行っています。またIFOAMは、有機農業に関するもうひとつの国際基準を策定しているコーデックス(食品規格)委員会の公式なオブザーバー資格を持つ国際NGOです。ISO(国際標準化機構)からは公式の基準設定機関として認定されています。
「IFOAM_Highlights_2007_Japanese.pdf」をダウンロード

「IFOAM_Donationletter_2007_Japanese.pdf」をダウンロード

Cauj6vudIFOAMの本部はドイツのボンにあり、FAO(国連食料農業機構)との共同オフィスがローマにあります。地域事務所はアフリカ、ラテンアメリカと中国にあります。構成メンバーは各国の小規模農家や有機農業団体、有機認証団体、コンサルタント、研究者、消費者、国際流通企業などです。IFOAMが策定している有機認証のためのオーガニック基礎基準(有機基準を作るための基準)と、有機認証団体の適合性を認定するための認定基準は、世界各国の政府や有機認証団体による基準や検査システムを構築するための国際ガイドラインとして尊重されています(※以下は2011年のメンバー要覧です)。
http://www.ifoam.org/IFOAM-Membership-Directory-2011_web.pdf

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IFOAMは、38年間にわたって世界中でオーガニックの信頼性を保護するための有機認証制度の普及活動、有機農業の発展のために実用的な資源(情報)の提供などをしてきました。また、国連機関やEUなどの政府機関と共同で国際会議を開催し、世界中で開催される有機農業やオーガニック市場に関する国際会議に参加してきました。世界各地で開催されるオーガニック製品の展示会などイベントへの参加協力を通じてオーガニックの信頼性をアピールし、世界の有機農業とオーガニック市場に関する統計本などの出版活動を通じて、有機農業発展のための有益な情報の提供に取り組んできました。

2009_ifoam_emerson_067最初の写真は、2007年12月にIFOAM本部の会議室で開催された「有機農業の定義」についてのミーティング最終日の様子です。前回のIFOAM総会(2005年豪州アデレード)での世界中のメンバーからの要請に応じて、IFOAMは3年間かけて「有機農業の定義」を協議してきました。これは、世界各国から選ればれて参加したタスクフォース(分科会)のメンバーがついにその定義を完成させた瞬間です(プロジェクターで壁に写し出した文章を誇らしげに読み上げる参加メンバーとそれを見守るIFOAM本部スタッフ)。僕は2007年の秋から翌年の2月までこのボンの本部で広報やマーケティングを担当するメディアフェローとして勤務しました。以下はIFOAMの2007年~2009年の年次活動報告書です(英語)。http://www.ifoam.org/sub/pdf/IFOAM_Annual_Report_2009_final_web.pdf
http://www.ifoam.org/about_ifoam/inside_ifoam/pdfs/IFOAM_Annual_Report_2008.pdf
http://www.ifoam.org/about_ifoam/inside_ifoam/pdfs/Annual_Report_2007_WEB.pdf

【IFOAMの主な活動内容】
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IFOAMの活動のひとつが『IFOAMオーガニック基礎基準』の策定と改訂です。1980年にIFOAMが策定した『オーガニック基礎基準』は、世界各国の政府や有機認証機関が有機認証制度や検査・認証システムを導入する際の参考にされてきました。例えば、世界で最も有機農業とオーガニック市場が発展しているEU(欧州連合)が、「オーガニック食品の表示とラベリングに関する規則(EEC/2029/91)」を導入する際に「EUオーガニック基準」を策定する参考にされました。この基準はEUが有機認証制度を導入する際に制定しました。有機認証制度は、消費者の有機野菜やオーガニック食品に対する信頼を獲得するためには不可欠の制度でした。現在、ヨーロッパの有機農業は、2007年で農業全体の約4%を占めており、オーガニック食品市場は約2.6兆円規模に達しています。

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IFOAMは、1970年代から欧州委員会や欧州議会に対して有機農業に関する政策(有機認証制度や農業環境政策・農村振興政策)を導入するためのロビー活動やアドボカシー活動(政策提言活動)を続けてきました。その目的は、これらの政策を生産者と消費者の両方にとってより利益の多い政策にすることです。IFOAMは1991年のEU有機認証制度の導入にも大きな役割を果たしましたが、その後もEUの「共通農業政策(CAP)」や「オーガニック政策の見直し」に関して、ヨーロッパの有機農業団体を代表して、環境NGOとも協力して深く関わっています。(※「IFOAMオーガニック基礎基準」は3年毎の総会で見直されて改訂されます。)
http://organic.no-blog.jp/weblog/2009/09/2007_a4df.html

Ifoam_jas_images 2001年に施行された日本の有機認証制度は、国際食品規格委員会(コーデックス委員会:FAOとWHOにより設立)が1999年に発表したもうひとつの国際的なオーガニック基準である「コーデックス有機ガイドライン」をベースにしています。このガイドラインもIFOAMのオーガニック基礎基準を参考として策定されました。IFOAMはコーデックス委員会の公式なオブザーバー資格を持ち、有機ガイドラインの策定過程からその後の定期的な改訂にも関与しています。http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/codex/standard_list/index.html

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またIFOAMは、2003年からEU地域に続いて世界で二番目の地域オーガニック基準である東アフリカ地域の有機農産物基準(EAOS)の策定と検査・認証制度の導入に貢献し、オーガニック市場の立ち上げに重要な役割を果たしました。このことは、東アフリカの小規模農家がオーガニック市場にアクセスし、生活向上を目指すことにつながります。EAOSは、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、そしてブルンジのオーガニック規制とマーケットを結び付ける役割を果たしています。EAOSは、公的セクターと民間セクターのパートナーシップにより発展してきました。

Usda_organic_2 2008年にはアメリカ農務省の有機農業基準委員会による「グループ認証」に関する提言の起草過程に、IFOAMは有機農業セクターを代表して深く関わりました。グループ認証への継続的な承認は、オーガニックセクターの成長と開発途上国における何十万人という小規模農家の生計にとって重要です。IFOAM の目的はグループ認証が公正で法的に有効で、技術的に弁護でき、実行可能であることを保証することです。
「ifoam_highlights_flyer_2008_japanese.pdf」をダウンロード「ifoam_donation_letter_2008_japanese.pdf」をダウンロード

Ifoam_orgganic_conference_2008_129【IFOAMと世界のオーガニック専門展示会】IFOAMは、1990年にドイツで始まったオーガニック専門展示会、オーガニックEXPO「BioFach」のパトロンとして特別協賛してきました。ビオファッハに出展されているオーガニック商品は、1980年代から世界のオーガニック基準を牽引してきたIFOAMがそのクオリティを認めています。現在、ビオファッハはドイツ(ニュルンベルグ)、日本(東京)、中国(上海)、北米(ボストン)、南米(ブラジル:サンパウロ)、今年の秋からのインド(ムンバイ)と世界各地で開催されています(ビオファッハジャパン2009)。http://organic.no-blog.jp/weblog/cat7381122/index.html

Photo_4【開発途上国の小規模有機農家、発展のために】またIFOAMは、世界各国の有機農業の拡大とオーガニック市場の発展を通じて、開発途上国の小規模農家を支援し、その生計を向上させたいと考えています。農業が主力の開発途上国では、産業として海外のオーガニック市場へのマーケットアクセスを可能にする有機認証制度などのインフラ整備を通じて、メンバーを支援していきます。同時に、地域における自給用の有機農業の発展やファーマーズマーケットなど地元マーケットの開発も支援しています。IFOAMは、世界の各国の小規模農家のメンバーたちの支援に持てる資源を投入していきます。

【IFOAMの活動についての紹介映像リンク(英語)】
http://www.ifoam.org/press/videos/image_film.html

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【IFOAMの世界理事会について】IFOAMは非政府の民間組織(NGO)ですが、各国及びEU議会、行政、国連機関などの重要な政策決定の議論の場において国際的なオーガニックムーブメントの代表として公的な立場で発言をしてきました。この有機農業関連では、唯一で最大の国際NGOであるIFOAMの運営には、その執行部である世界理事会(World Board)が責任を負っています。世界理事会は、IFOAMの活動をリードするために有機農業やオーガニック市場の発展のために世界各地で働いている多様な個人10名によって構成されています。世界理事会はIFOAMの国際本部のあるドイツのボンで定期的に開催されます(2009年春の世界理事会)。
http://organic.no-blog.jp/weblog/2009/05/ifoam2009bonn_g.html

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世界理事は3年に一度開催されるIFOAMの総会でメンバーによる直接投票による民主的な選挙で選ばれます。ちなみに僕も2008年の第16回IFOAMオーガニック世界会議に続いてイタリアで開催されたIFOAM総会で関係各位のご支援をいただき世界理事メンバーに選んでいただきました(写真中央:IFOAM本部横の自然公園にて)。
http://organic.no-blog.jp/weblog/2008/08/ifoam_1311.html

世界理事の仕事はボランティアで、理事たち個人の仕事は様々です。有機農家、有機農業技術者、生産者グループの代表、全国レベルの有機農業運動ネットワークの代表、有機認証団体の理事やコンサルタント、有機農業、生物多様性、農村開発の研究者、研究機関の代表者、オーガニック食品流通企業の広報担当などなど。それぞれの専門性とチームワークを生かしながら、5つの大陸をカバーしています。
http://organic.no-blog.jp/weblog/2009/05/ifoam_ecf6.html

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【IFOAM「有機農業の定義」】
『有機農業は、土壌と生態系、そして人々の健康を持続させる生産システムである。有機農業は、地域の条件に適合した生態的なプロセス、生物多様性や循環を活用し、悪い影響を与える投入物を使用しない。有機農業は、関わるすべてのもののために伝統と革新と科学を組み合せ、共有している環境に利益をもたらし、公正な関係性とよい生活の質を促進する。』

"Organic agriculture is a production system that sustains the health of soils, ecosystems and people. It relies on ecological processes, biodiversity and cycles adapted to local conditions, rather than the use of inputs with adverse effects. Organic agriculture combines tradition, innovation and science to benefit the shared environment and promote fair relationships and a good quality of life for all involved."

IFOAMは、世界中のメンバーの要請に応じて上記の「有機農業の定義」策定のためのタスクフォースを召集し、2008年に策定しました(※ページ冒頭の写真を参照)。この定義は、2005年に策定された「有機農業の原則」に基いて作られています。この「有機農業の定義」は今後、国連機関や各国政府、世界の有機農業団体や有機認証団体が有機農業について考える際の参考にされています。

DottenfelderIFOAMは2005年に「有機農業の原則(エコロジー・健康・公正・配慮)」を策定しました。この10年間で、オーガニック市場がヨーロッパやアメリカを中心に急速に発展してきました。その背景として、大手企業がオーガニックセクターに入ってきたことが挙げられますが、市民社会による環境運動として始まった有機農業が利潤の最大化を求めるビジネスの原理だけに引きずられすぎないための原則です。4原則のなかの公正の原則では、「有機農業は、開発途上国を含むすべての消費者や小規模農家、加工業者、流通業者の間で公正さを確保できる関係を結ぶことや、良質な食べ物と生活を提供し、食料主権と貧困撲滅にも貢献する」ことをうたっています。

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【「有機農業の原則」】
「有機農業の原則」は、世界中のIFOAM会員を中心に、幅広い利害関係者の話し合いによって作り上げられました。これらの原則は、有機農業が成長、発展するためのツールです。有機農業の原則は、すべて面においてオーガニックムーブメントに活気を与える役目を果たします。これらの原則は、有機農業をその地位と事業と基準において発展に導きます(日本語版リンク)。
http://www.ifoam.org/about_ifoam/pdfs/POA_folder_japanese.pdf

<健康の原則>
有機農業は、土、植物、動物、人、そして地球の健康を個別別々に分けては考えられないものと認識し、これを維持し、助長すべきである。
<生態的原則>
有機農業は、生態系とその循環に基づくものであり、それらと共に働き、学び合い、それらの維持を助けるものであるべきである。
<公正の原則>
有機農業は、共有環境と生存の機会に関して、公正さを確かなものとする相互関係を構築すべきである。
<配慮の原則>
有機農業は、現世代と次世代の健康、幸福、環境を守るため、予防的かつ責任ある方法で管理されるべきである。


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【IFOAMオーガニック世界会議2008】
2008年には3年に一度のIFOAMオーガニック世界会議(第16回OWC)とIFOAM 総会をイタリアで開催しました。世界会議では、110カ国から1200人のメンバーとサポーターが持続可能性の高い有機農業の発展に向けて、地球温暖化と有機農業、食糧安全保障、農村開発、遺伝子組み換え生物、生物燃料などについて活発な議論がなされました。OWCは世界の有機農業関係者のための重要なプラットホームです。総会はIFOAMの意思決定機関で、メンバーが投票によって有機農業の信頼性の守護者としての役目を果たす草の根民主主義の場です。今回は、IFOAM史上でも過去最大の参加者を得ることができました。総会では、執行部である世界理事会メンバーの選挙や次回2011年のIFOAM総会の開催国の決定(韓国)、今後の行動計画、有機保証制度の直しに関する議論などがなされました。
http://organic.no-blog.jp/weblog/2008/08/2008_9bfa.html

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【プラネットダイバーシティ(生物多様性)】
2008年5月には、ドイツのボンで開催された国連の代表団による生物多様性に関するカルタヘナ議定書(CBD)の国際交渉(COP9)と並行して、国際環境NGO 連合との共同で、遺伝子組み換え生物による遺伝子資源に対する環境汚染に抗議する「プラネットダイバーシティ(多様性の惑星)」を開催しました。「planet_diversity_flyer_japanese.pdf」をダウンロード

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そして、世界中から集まった参加者に対して、環境NGOが「有機農業が生物多様性の保護に貢献できる」ことをアピールしました。イベントには90 カ国550 人以上の人々が参加しました。

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【IFOAMの使命(ミッション)】
IFOAMの使命は、有機農業運動をそのすべての多様性においてリードし、結びつけ、支援することです。IFOAMの目標は、有機農業の原理に基づいた生態学的に社会的にそして経済的に健全なシステムの世界的な導入です。

・世界的な規模で有機農業運動をリードすること。IFOAMは、農家組織から国際認証機関での基礎となる幅広い支援団体の意思を実行します。エコロジカルで、経済的で、社会的に持続可能であるという意味において有機農業の信頼性と永続性を確保します。

・有機農業に関する世界を結びつけること。IFOAMは国際会議や委員会の会合、その他のフォーラムの開催を通じて、利害関係者に幅広い範囲の目的のためのプラットフォームを提供します。IFOAMは、有機農業の地位と未来についての継続的で建設的な会話を促進します。

・メンバーシップを支援すること。IFOAMは、特に開発途上国において有機農業の導入を促進する特定のプロジェクトを実施します。またIFOAMは、国連やその他の政府間機関において有機農業運動を代表します。

IFOAMの2007年・2008年の主要な活動実績については、以下のファイルをご参照下さい。
「IFOAM_Donationletter_2007_Japanese.pdf」をダウンロード「IFOAM_Highlights_2007_Japanese.pdf」をダウンロード「ifoam_highlights_flyer_2008_japanese.pdf」をダウンロード「ifoam_donation_letter_2008_japanese.pdf」をダウンロード

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【オーガニック保証システム(OGS)】
IFOAMのオーガニック保証システムは、国際的に有機農産物の貿易を可能にし、有機農業の信頼性を守り、消費者からの信頼を獲得します。

オーガニックであると名乗る製品の市場取引と貿易が急速に成長している環境のなかで、IFOAMはオーガニックであることの信頼性について市場の保証を提供します。オーガニック保証システム(OGS)は、有機農業の世界を、共通の有機的な生産と加工のための一連の基準および共通の検査システムと市場における独自性を提供することでつなぎます。オーガニック保証システムは、参加している有機認証団体の同等性を促進します。オーガニック保証システムは、この仕組みに参加しているそれぞれの異なる認証団体によって認証されたオーガニック製品の貿易を促進します。

IFOAMのオーガニック保証システムは、IFOAM認定基準により認定された有機認証団体をIFOAM認定団体とすることができます。現在、34以上の世界中の認証団体がIFOAM認定に加入しています。IFOAM認定は国際的な規範(基準)を受け入れるための適合性の評価を与えることができます。

IFOAM認定は、バイヤー、政府当局、他の管理機関そして市民に対して、その製品が有機的な生産と加工のための国際基準に従ったシステムに対応して生産されたことたこと、そしてそれを認証されていることを保証します。IFOAMの認定プログラムは国際オーガニック認定サービス(IOAS)により実施されています。