3月29日(木)から4月1日(日)まで、西アフリカのセネガル(首都:ダカール)で開催された「第3回グローバルグリーンズ会議(緑の党世界大会)2012」に参加しました。大会には7月に「緑の党」設立を目指す「みどりの未来」の国際局スポークスパーソン足立力也さんら4名の代表団として行ってきました。今回アフリカで初めて開催されたこの会議には、世界90カ国にある「緑の党」のうち76カ国から約600名の関係者が、アフリカ民主主義の優等生ともいわれ、昨年「世界社会フォーラム」も開催されたセネガルのダカールに一同に会して、緑の政治、連帯、民主主義、生物多様性、気候変動とエネルギー、そしてグローバルグリーンズ運動の未来などについて4日間の熱い議論を闘わせました。2001年に豪州のキャンベラで開催された第1回大会から11年ぶりに参加した「グローバルグリーンズ会議」では、アジア太平洋(豪州を含む)を中心にアフリカや南北アメリカ、ヨーロッパの「緑の党」関係者と新しいネットワークをつなぐことができました。大会に引き続いて企画されたオプショナルツアーも含めて様々な出会いや収穫の多くあった貴重な機会でした!(公式HP大会報告:英語)
http://www.globalgreens.org/news/dakar-congress-wrap
【GGダカール大会のテーマ】この大会のメインテーマは以下の5つです。①「グローバルグリーンズ関連:緑の政治、GG憲章、国会&地方議員のグローバルネットワーク」②「気候変動とエネルギー:原発・核問題、再生可能エネルギー」③「生物多様性(森や海洋の生物多様性)、土地の正義(land grabbing)」④「民主主義:選挙制度改革、アフリカの民主主義、女性と政治」⑤「グリーンニューディール:成長を超えて(グリーン経済)、廃棄物の今後、脱税と汚職」「※Rio+20サミット(持続可能な開発と貧困の撲滅)」。
会議では上記のテーマに即して本部から以下の決議案(アクションプラン)が提案されていました。「グローバルグリーンズの未来の機能と組織」「グローバルグリーンズ憲章の一部改正」「気候変動とエネルギー」「世界の漁業、海洋生態系に関する決議」」「グリーンエコノミー」「Rio+20サミットに向けて」。大会中に開催される基調セッションや個別のワークショップを通じて、これらの決議案に関する議論を深めて最終日に投票によって採択します。これ以外にも世界各国のメンバーから多様なテーマの決議案が提案されていました。以下は、現時点で内容が確定した分を含む決議案です(英語)。
http://www.globalgreens.org/news/global-greens-congress-resolutions-dakar-2012
※「リオ+20 サミット(持続可能な開発と貧困の根絶におけるグリーン経済)」
http://www.greens.gr.jp/pdf/[GG]Rio+20.PDF
※「気候変動とエネルギー(脱原発)についての決議(日本語)」
http://www.greens.gr.jp/pdf/[GG]kikouhendo.PDF
■欧州緑の党による「グローバルグリーンズ会議ダカール2012」の映像。
http://www.youtube.com/watch?v=pPh34PQUL4I&feature=g-all-u
■欧州議会議員(仏緑の党)による「女性と民主主義」の映像(フランス語)。
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&NR=1&v=6Mf8atrfxgE
■ダカールの「都市と廃棄物」に関する欧州議会議員(英緑の党)の報告。
http://www.youtube.com/watch?v=W-R3bCMyHAk&feature=endscreen&NR=1
【GGダカール2012の目的】GGダカール開催の目的は、グローバルグリーンズのこの先10年のアジェンダを設定することや、これまでの世界各国の「緑の党」や「緑の政治運動」の経験を共有し、実際に顔を合わせて交流することです。世界の緑の党には、例えば1983年に設立されて1998年から社民党(SPD)と7年間の連立政権を担当し、昨年の福島原発事故を受けて2022年までに「国として脱原発」を決定したドイツ緑の党のような経験豊富な党から、2006年に設立されてまだ市民社会による環境運動の側面も併せ持つネパール緑の党まで、多様性に溢れています。まさにこれから「緑の党」を設立しようという日本にとっては、政権内で2002年に「脱原発政策」を決定したドイツ緑の党の経験や、選挙制度が近いのに10年間で10名の国会議員を擁するまでに成長した豪州緑の党などは本当にいいお手本です。特に、議席数が僅差の2大政党の間でキャスティングボートを握って「炭素税の導入」を実現した豪州緑の党のその状況に至るまでの経験などは、とても役に立つものだと感じました(大会プログラム:英語)。
http://europeangreens.eu/fileadmin/WEBSITEIMAGES/Dakar_2012_program.pdf
【「GGダカール2012」の特徴】今回の「グローバルグリーンズ会議」の特徴は、なんといっても初のアフリカ開催であること。経済的にも単独で国際会議を開催すのは難しい「セネガル緑の党(FEDES)」や「アフリカ緑の党連盟」を、「グローバルグリーンズ会議」を第1回大会の開催からこの間10年以上リードしてきた豪州緑の党や元宗主国でもあるフランスの緑の党を中心としたヨーロッパ緑の党連盟が厚く支援しました。他の特徴は、ニュージーランドで「世界で初めての緑の党」が誕生した1972年から40周年の大会であること。そして緑の党として初の国際会議を持った1992年ブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット(国連持続可能な開発会議)」から20周年であること。また豪州の首都キャンベラで開催された第1回「グローバルグリーンズ世界大会」からは11年目です。第1回大会にも参加させてもらった経験から、会議を通じて触れたこの間の(世界の緑の党の)成長ぶりには目を見張るものがありました。詳しくは追ってご紹介します。また偶然にも、セネガルでは大会前日までに大統領選挙の決選投票が平和裏に行われました。その結果、新たに若きマッキ・サル大統領が選ばれて民主的な政権交代が実現!就任式が滞在期間中に開催されました(大会HP:英語)。
http://www.dakar2012.org/
【アフリカ初の緑の党世界大会】29日(木)の夕方から始まった開会式には、地元「セネガル緑の党」や「アフリカ緑の党連盟」に所属するアフリカを代表する緑の党関係者が集結しました。また、アフリカで初めての「緑の党」による世界大会ということで、テレビや新聞などマスコミの取材もかなり入っていました。開会式には、“世界最強の緑の党”ともいわれるドイツ緑の党党首のクラウディア・ロートさんも出席!さすがに70名近い国会議員を率いている政党のリーダーだけあって存在感を示していました。初めてお会いしましたが、日本では福島原発の事故後のマスコミ報道で事実が伝えられなかったことなどを話すと、「自分が経験したチェルノブイリの原発事故の際にも同じようなことがあったから、秋ぐらいには来日して情報交換したい。」と言ってくれました。フランス緑の党書記長のセシル・デュフロさんは、4月の大統領選挙の準備もあって開会式には間に合わなかったものの、翌日の基調セッションには参加していました。
【途上国で土地収奪が問題に】世界各国で開催される各種の国際会議では、アフリカなど開発途上国からの参加は経済的に困難が伴うため、開会側が基金を募って招待するのが通例ですが、その意味でもアフリカのように経済のグローバル化により拡大する一方の「経済格差(南北問題)」や、「地球温暖化(気候変動)」や「生物多様性の喪失」「砂漠化の進行」による直接的な被害を受けている現地でグローバルグリーンズ大会が開催されたことの意義は大きいと感じました。会議で聞いて驚いたのが「land grabbing(土地収奪)」の問題です。自国の農業(食料確保)や投機のために外国企業や政府機関などが、アフリカなど開発途上国で小規模農家の土地を収奪する問題が広がっていることを訴える声を開発途上国の関係者らから聞きました。この問題に対しては決議案も採択されました。
http://www.globalgreens.org/dakar2012/resolutions/land-grabs-in-senegal
【世界中の「緑の党」が登壇】2日目の冒頭にオープニングセレモニーが行われました。グローバルグリーンズでは恒例の参加者(世界中の緑の党)による自己紹介です。第1回では、広い会場に参加国ごとに円卓が並べられてマイクを回しましたが、今回は演壇に参加国の代表団が登壇してのひと言メッセージが続きました。ある意味で、これも会議のメインイベントのひとつです。
まさに「緑の党」の多様性を象徴する、世界中から集まった緑の仲間たちの多様なアピールに、会場の参加者も大興奮!写真を撮ろうと演壇近くにどんどん人が集まりすぎて、最後は写真も撮れないぐらい盛り上がりました。なかでも印象的だったのは、やはり豪州緑の党です。第1回のグローバルグリーンズ大会をホストした彼らは、僕が勝手に「グローバルグリーンズの父と母」と呼んでいる党首のボブ・ブラウンと、今回は裏方に徹したマーガレット・ブレーカーズを筆頭に最大人数で参加しました。豪州チームのメンバーは、今回も様々なワークショップの司会や事務局として、陰に日向に重要な役割を担っていることに感心しました。
【基調ワークショップ:緑の政治】大会中で個人的に一番印象深かったセッションは「緑の政治」でした。司会はドイツ緑の党党首のクラウディア・ロートさんです。前日の開会式で地元アフリカの女性が「まだ政治的には(飢餓や貧困、HIV・エイズの問題や終わらない民族紛争など)絶望的なことも多い状況の中ではあるが、女性も政治に関われるようになってきた」とあいさつしました。それを受けて、ロートさんは最初にチュニジアやリビア、エジプトなどで昨年起きた民衆蜂起による政権打倒、いわゆる“アラブの春”について触れて、「アラブの春は“女性の春”でもある」と訴えました。「緑の党は女性や移民、性的マイノリティ(ゲイやレズビアン)など差別を受けてきた人たちに、同等の権利を与えることに尽力してきた」ことから、アフリカにおいてもジェンダーによる差別をなくしていくことの重要性を主張しました。
また、気候変動による被害の甚大化や福島原発の事故などを受けて「世界中で活動する緑の党関係者が、各国で起きていることや成果など(日本で、豪州で)を情報交換して、つながることが大事だ」「ドイツ緑の党が7年間政権にいた経験やキャンペーンやスローガンに関する情報などを共有したい」「経済については、欧州緑の党はグリーンニューディール政策を進めている」「エコロジーとエコノミーは対立しないどころか両立することが明らかになった」「風力発言や太陽光発電などの自然エネルギー産業は、グリーン経済による35万人もの雇用を創出しました!」などと力強く報告しました(※TBS報道特集「独メルケル首相 脱原発決断の裏側」2012.3.24(緑の党 クラウディア・ロート党首インタビュー)。
http://www.tbs.co.jp/houtoku/plus/20120200_1_1.html
【フランス緑の党書記長】セシル・デュフロさん。彼女は、2006年から党を代表して、また4人の子供を持つ母親として、フランスとヨーロッパの「緑の政治」に中心的に関わっています。4月中旬にはフランスの大統領選挙があるのによく来られたなと思いましたが、「セネガルとフランスは深くて長い、そして辛い歴史がある。」と聞いて納得しました。彼女は、緑の党が応援している社会党の大統領候補、オルランド党首に対して「気候変動や原発の削減に熱心ではなかったから、支援の条件として原発を50%削減することを提案した」と言っていました。そして現役のサルコジ大統領が原発推進派などの支援で巨額の選挙キャンペーンを行っていることを批判しました。そして、今回の政権交代が起きたセネガルの大統領選挙を受けて、「自分たちもサルコジ体制を倒して政権交代を実現したい」と、通訳もメモも追い付かないぐらいのすごい早口なスピーチで話しました(※彼女は政権交代の結果、第1次オルランド内閣の地域間平等・住宅大臣に就任しました!)http://eelv.fr/
【ルワンダ民主緑の党】代表のフランク・ハビネザ氏は、2009年に民主緑の党を創設して党代表を務めています。彼は「ルワンダといえば1994年のジェノサイド(虐殺)のことを思い出す人が多いでしょう」と話を始めました。そして、ルワンダでは、現在でも大統領選挙などにおいて政治的弾圧と言論の自由の制限が強まっているといいます。2010年の大統領選挙では、現職大統領の「ルワンダ愛国戦線(RPF)」の政策を公に批判してきた緑の党などは、候補者の擁立を許されなかったそうです。また、党首や党員が脅迫や嫌がらせの被害にあったり、場合によっては投獄されたり、殺害されることもあるといいます。このような問題について書いたジャーナリストは国外追放になったとも言っていました。このテーマは「アフリカの民主主義」でも議論されました。彼はケニア緑の党を創設した故ワンガリ・マータイさんにグローバルヤンググリーンズを紹介してもらって現在に至ったといいます。また、今回の大会実行委員のひとりとして、豪州緑の党と欧州緑の党の手厚い支援に感謝の意を表していました。
【豪州緑の党】党首のボブ・ブラウン氏は、第1回のGG大会で故ワンガリ・マータイさんが、アフリカを代表してコカコーラやエクソン・モービル、バークレーズ銀行などの多国籍企業が「自由貿易」と「経済のグローバル化」を通じてアフリカの市場に参入してきたことよって、「金持ちはよりリッチになり貧乏人はよりプアーになっている」ことを、「歴史上で最大の白い恐竜がアフリカを徘徊している」「とても脆弱なアフリカは何百年もの間、搾取されて、侵されて、無力化されてきた。そして今度はグローバリゼーションという新しい名前の植民地主義で市場をこじ開けられようとしている」と批判していたことを紹介しました。僕も「GGキャンベラ2001」に参加した際に、まだノーベル平和賞を受賞する前の「グリーンベルト運動(植林運動)などの環境活動家」として何度も投獄されながらも女性として闘ってきたマータイさんの「自分たちアフリカから搾取するのを止めて!(Leave us alone!)」という魂の叫びに触れて、本当に心が震えたことを思い出しました…。
ボブ・ブラウン氏は、グローバルに展開する多国籍企業の一部が地球や人々から搾取していることや、世界の軍需産業が核兵器に毎年3兆円以上の投資をしていることから、そのお金があれば世界中の開発途上国の子どもたちを学校に行かせて、きれいな水と食料を与えることができると主張しました。そして、持論でもある「グローバルデモクラシー」についても、「100年前には普通参政権は夢の話だったが実現している」だから、「地球温暖化のように環境問題がグローバル化しているのだから、グローバルデモクラシーも実現できるはずだ」と話しました。他には南米を代表して、チリ緑の党事務局長パブロ・ペナローザ氏。パプアニューギニア緑の党代表のドロシー・テクウィ、グローバルヤンググリーンズの共同代表(ベルギー緑の党)が発言しました。
【女性が活躍するのは当たり前?】11年前の第1回GG大会に参加した時は、基調講演やワークショップの司会を、女性がたおやかな手さばきで見事に務めていたことに感動しましたが、11年後の今回は現実の国際政治の舞台でも70人近い国会議員を束ねて「国として脱原発の実現」をはじめ様々な環境政策などに影響を与えているドイツ緑の党党首のクラウディア・ロートさんや、フランス緑の党書記長のセシル・デュフロさんの活躍に触れることができました。特に、堂々のリーダーシップで会議を引っ張るロートさんは細やかな気配りも忘れず、セッションの最後には通訳ブースの人たちも労っていました。そして日本のことについても「フクシマのことは忘れない」「民主主義にとって、何よりも情報公開が大事だ」「原発はどこの国でも情報を隠さないと成り立たない産業だから止めるべきだ」と力強く語って報告を終えました。
【グローバル脱原発決議案】今大会では、本部からの提案以外にも、各国のメンバーから多くの決議案が提案されました。その一例をご紹介します。日本を代表して参加した「みどりの未来(Greens Japan)」は「グローバル脱原発決議案」を起草、APGN(アジア太平洋緑の党ネットワーク)のメンバーである豪州・台湾・ネパール緑の党とGENNAP(APGNの)反核・グリーンエネルギーアクショングループ)と共同で提案しました。決議案「グローバルグリーンズは脱原発社会を強く求める( ”Global Greens urge for a nuclear free world” )」です。
http://www.greens.gr.jp/pdf/siryou2_ketugi_GG_20120412.pdf
【原発・核問題ワークショップ】「グローバル脱原発決議案」は、事前に共同提案者であるAPGNの関係者には内容が示されていましたが、大会の個別ワークショップでも、新たな参加者を得て議論されました。このワークショップには、予想以上に多様な国からの参加者が集まり、自己紹介から始めたのですが、どんどん新しい人が増えて、なかなか自己紹介が終わらず、議論に入るのにだいぶ時間がかかるという面白いスタートになりました。
参加したのは、モンゴルや台湾、豪州を含むAPGNのメンバーを中心に、中南米の国々、カザフスタン、ロシア、カナダ、ニジェールのようなウラン輸出大国から来たメンバーたちです。彼らからは、ウランの採掘現場での放射能汚染や被曝労働者などの問題についても決議案に入れるよう要望があり、採用されました。この決議案では「 定期検査で停止中の(大飯原発の)再稼働阻止」についても言及していますが、最終日に「世界70カ国の緑の党」による賛成多数で採決されました!この決議案を、5月5日に初めての「原発ゼロ」の日を迎えるまで、国際社会も大飯原発を再稼働しないよう監視しているという意味で、多くの人に活用してもらえればと思っています。
http://site.greens.gr.jp/article/55252702.html
【「決議案」採決までの流れ】大会期間を通じて、本部提案の決議案とメンバー国から提案された決議案は、基調セッションや個別ワークショップでの顔を合わせた議論を通じて、修正案が作られます。それを最終日の前日の14時までに「決議案テント」に提出して受け付けてもらいます。すると最終案が隣のテントに張り出されて、みんなが見ることができるという仕組みです。決議案全体についてはUSBスティックでデータとして受け取って、PCで確認することになります。
僕は、ひょんな流れから、日本がAPGNの枠組みで提出した「グローバル脱原発決議案」の提出ギリギリのタイミングでの修正を取りまとめることになり、またそんな時に限ってパソコンのバッテリーが切れる寸前だったのですが、冷や汗をかくぐらい焦りながらも、なんとか取りまとめた最終案を時間内に提出することができました。
【採決の日には会場が満員に】そして最終日がやってきました。これまでの3日間は、他にも個別テーマのワークショップがあちこちのテントで開催されていたこともあり、メイン会議はけっこうガラガラに空いていた時もありました。歩いて5分でビーチにも行ける会場にはプールもあり、さすがに泳いでいる人はいませんでしたが、少し冷房が効きすぎの会場よりも太陽の日差しを浴びられる外で、議論やネット接続に忙しい人たちも少なくありませんでした(笑)。
それが採決の日には「この人たちはいったいどこに行っていたのだろう?」と思うぐらいのメンバーが再集結して、自分たちの提出した決議案が採決されるかどうか、また修正案が受け入れられるがどうか、真剣に相談し合いながら投票に臨んでいました。決議案によっては、スクリーンに映し出された(一番大事なグローバルグリーンズ関連の)決議案の文字が小さすぎると、一度は「内容が確認できないような状態で決めるのはおかしい!」という少し荒れた雰囲気になったりもしましたが、司会が「献身的に10分以上をかけて全文を読み上げる」という一幕もあり、最終的にはいい一体感の中で決議案が採択されるという「グリーンズらしい」ハプニングもありました。以下が、本大会を通じた議論の結果、採択された決議案(確定分)です。
http://www.globalgreens.org/dakar2012/resolutions
【同時開催の国際会議】「GGダカール2012」に先だって、27日(火)には「グローバルヤンググリーンズ」の会議が開催されました。28日(水)には各地域の緑の党連盟の会議である「アジア太平洋緑の党ネットワーク(APGN)」「アフリカ緑の党連盟(AGN)」「欧州緑の党連盟(EGP)」会議などが開催されました。29日(木)には同時開催の「Rio+20フォーラム」がハインリッヒ・ベル財団の支援により開催されました。1992年にブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット(国連持続可能な開発会議)」が開催されました。このサミットには、初めて世界中から多くの環境NGOなどが参加して、その後に取り組まれる「地球温暖化(気候変動)」「生物多様性」「砂漠化(土地荒廃)」などの地球環境問題が大きなテーマになりました。それから20年目の今年6月に再びリオで「Rio+20サミット2012」が開催されます。テーマは①グリーン経済(持続可能な開発と貧困の根絶)②持続可能な開発のための制度的枠組みです。(※重要課題:雇用・エネルギー・都市・食料・水・海洋・災害)「Rio+20フォーラム」では、このサミットに向けて世界90カ国で活動する緑の党として何を提案するかを議論しました(※「Rio+20サミット2012」に関する日本語情報)。
http://www.geoc.jp/rio20
【Rio+20フォーラム】最初のセッションでは、スウェーデン緑の党創設者で、1992年のリオサミットにも深く関わったペール・ガットン氏やブラジル緑の党の元環境省次官でリオデジャネイロ州議会議員(元州知事候補)のアスパシア・カマルゴさんがリオサミットでの経験と「Rio+20」のプロセスについて説明。そして20年間で何が達成されて何が足りないのか、そして今回の「Rio+20」で求められることについて情報提供してくれました。司会は、ブラジル緑の党国際局長でアメリカ緑の党連盟共同代表のマルコ・アントニオ・モルツ氏でした。次のセッションでは、本部提案の「Rio+20」決議案の内容を2チームに分かれて検討することになりました。僕は、このセッションのファシリテーターのイルマ・ラチムンドさん(豪州緑の党)がリードするNZ、イギリス、カナダ、スウェーデン、ブラジル、ナイジェリア等グループの議論に参加。早くて専門用語の飛び交うネイティブ英語チームの議論について行くのに必死でしたが、細部にはまらず客観的な視点から少しは貢献もできました(※ペール・ガットン氏の「Rio+20」に向けたスピーチです)。
http://www.cogito.nu/artiklar/pressmeddelande-gahrton-talar-vid-global-greens-kongress-i-dakar
【オーガニックなグリーン経済】「Rio+20」の最後のセッションで、僕もAPGNを代表してパネラーとして報告させてもらいました。モデレーターは笑顔が素敵なマオリ族出身のNZ緑の党共同代表、メチリア・ツレイさん。彼女の丁寧な司会に助けられました。セッションでは、ブラジル緑の党のアスパシアさんが第2セッションの議論を受けて議論のポイントを提案しました。僕は、国際NGO「IFOAM(国際有機農業運動連盟)」での3年間の世界理事としての経験から、この20年間で欧米を中心に約6兆円のマーケットに成長したオーガニック(食品)産業が、アフリカなど開発途上国の小規模農家の有機農業による生活レベル向上に貢献していることを(IFOAMに最新の統計情報を提供してもらって)ウガンダなどの成功事例を通じて報告しました。
そしてすでにアフリカ連合(AU)が、持続可能な開発計画に有機農業を取り入れていることも紹介しました。つまり、「Rio+20」のテーマ①については、有機農業によるオーガニック市場へのアクセスを通じた持続可能な開発は(農薬や化学肥料や遺伝子組み換え作物(GMO)の使用を減らせるという意味で)、まさに「グリーン経済」だし、小規模農家の生計も改善されて貧困が削減されます。また、地域の有機資材を活用して地域の市場や自給用にも有機農業を導入することで、貧困を減らすことができると「FAO(国連農業食糧機構)」も認めています。②については「持続可能な開発のための制度的枠組み」として、有機農業への財政的支援を増やすことと、環境を汚染する農薬や化学肥料への課税強化を提案しました。他のパネラーはベルギー緑の党代表のウォーター・ベジーン氏とナイジェリア緑の党のジェンダー活動家、プリシラ・アチャクパさん。「rio20gg_senegal2012.ppt」をダウンロード
【有機農業を通じた持続可能な開発】オーガニックに関するプレゼンを聞いて、6月のブラジル「Rio+20サミット」の現地で「緑の党リオ会議」をホストする委員でもあるアスパナシアさんが「こういう具体的な話を聞きたかったのよ!」「是非、リオに来てちょうだい!」と言ってくれたのはお世辞でもうれしかったです。また、アフリカだけではなく講演を聞いてくれたネパールや中国などアジア太平洋(APGN)の緑の党関係者から「自分の国でも、有機農業やオーガニック市場の発展を通じた“持続可能な開発”を目指したいがどうしたらいいか?」と突っ込んだ質問をいくつも受けました。そして、ファシリテーターのイルマからも、アフリカにとっては本当に有効で素晴らしい内容のプレゼンだったと言ってもらいました。そして、アフリカや他の参加者たちから「パワーポイントのデータが欲しいと言われているから渡していいか?」と聞かれて「喜んで!」と答えました。実は、セネガルへの飛行機の中でも、ワインも飲まずにずっと資料に目を通してぎりぎりまでパワーポイントの資料を作成していただけに、予想以上のご好評をいただきホッとしました。また重要な会議の議論に、少しでも貢献できたことをとてもうれしく思いました!
【GGダカール2012の成果】今大会の成果はたくさんあったと思います。ひとつは、大会を通じて熱く議論された47本の決議案が採決にかけられ、グローバルグリーンズの今後に向けた重要な決議案を含めて採択されたことです。また、豪州、ブラジル、アフリカと続いたグローバル・グリーンズ大会が、3年後を目途にヨーロッパで開催されることも決まりました。もうひとつの成果は、とにかく世界中の緑の党関係者が一堂に会して、昼間の会議はもとよりアフリカンダンスや音楽で盛り上がったディナーパーティーや懇親会、さらには大会後のオプショナルツアーなどを通じて、お互いの交流を深めたことです。
毎朝、ホテルでの朝食が一緒になったフィンランド緑の党のアンネ・ブランドさんからは、彼女が所属している欧州緑の党のグリーンニューディール委員会での「グリーン経済」に関する議論のことや、彼女が会場で知り合ったマダガスカル緑の党が、マーケティング戦略がすごくて会員を大量に集めて選挙で躍進していることなど、「(日本は)これから緑の党を作るんだから」と様々な情報をシェアしてくれました。また大会後に参加したセネガルの小さな農村を訪れて自然を満喫するツアーでは一緒になったサム・ビルネ氏(豪州緑の党の元シドニー市長)が、移動のバスの中で、地方政治の仕組みをはじめ、地方支部が中心となった候補者の予備選挙の仕組みや資金集めの方法など、自分たちがどうやって緑の党を作ってきたかを詳しく教えてくれました(※アンネの欧州緑の党ジャーナルへの寄稿)。
http://www.greeneuropeanjournal.eu/journal/volume-2/re-defining-capitalism-a-role-for-social-enterprise/
【セネガル緑の党から環境大臣が誕生!】もうひとつの成果として、新しく選ばれたセネガル大統領が、大会運営の中心となって活躍した「セネガル緑の党(FEDES)」の代表で環境活動家のハイダー・エル・アリ氏を環境大臣に抜擢したことがあげられます。大会期間中のメディアによるグローバルグリーンズ会議に関する大量の報道は、新しい大統領の決断を後押ししたものと思われます。今回、2回目のグローバルグリーンズ大会に参加させてもらって、各国で活躍する緑の党(と関係者の)エネルギーに触れて、「脱原発を実現するためにも、日本にも緑の党をつくりたい!」という想いを新たにしました。そして、そのことを2005年に京都で開催された「第1回アジア太平洋緑の党(APGN)大会」などにも参加してくれた「グローバルグリーンズの母」ことマーガレット・ブレーカーズさんに伝えると「それはよかったわ。それがこの大会の目的だから!」と言われました。状況は違ってもグローバルグリーンズでつながった世界中で頑張っている緑の党の仲間たちからの熱い声援を、是非日本の皆さんに伝えたいと思います!
【グローバルグリーンズ・コーディネーション】今回の「GGダカール2012」を主催したのはグローバルグリーンズ・コーディネーション(GGC)チームです。現在、グローバルグリーンズは「アジア太平洋・(南北)アメリカ・アフリカ・ヨーロッパ」の4つの地域の「緑の党連盟」から成り立っています。この4つの連盟から選ばれたGGCのメンバーが本大会の準備から運営までの責任を負いました。GGCは、数年に一度開催される世界大会の間、相互に協力してキャンペーン活動などができるようにコンセンサスに基づいた意思決定なども行っています。http://www.globalgreens.org/ggc
【グローバルグリーンズ】※「グローバルグリーンズ」とは、2001年に豪州の首都キャンベラで開催された「第1回グローバルグリーンズ会議」に参加した世界70カ国の緑の党により採択された『グローバルグリーンズ憲章』(6つの原則:エコロジカルな知恵・社会的公正・参加民主主義・非暴力・持続可能性・多様性)を共有の価値観とする緑の党の国際ネットワークです。この「グローバルグリーンズ憲章」について議論し、採択するのが第1回大会の最大の目的でしたが、ヨーロッパ、アフリカ、アジア太平洋、南北アメリカと、それぞれ文化も宗教も気候も民族も違う大陸(地域)の世界中の緑の党の間では、価値感の違いもあり、議論は相当に紛糾しました。一時はアフリカから「大陸ごとに憲章を作ってはどうか?」という提案さえ出されましたが、ヨーロッパ側から、「欧州中心の憲章にしたくない。」「どこをどう修正すれば合意できるのか、最後まで議論しよう。」という強い意志が示されて、ついに「グローバルグリーンズ憲章」が誕生しました。以下、第1回大会の記録映像などです。
https://www.globalgreens.org/canberra2001