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5月30日(日)、國學院大學(渋谷キャンパス)において「有機農業における政策展開の国際比較」というテーマで研究会が開催されましたので、遅ればせながら内容を報告させていただきます。この研究会は、『自然共生型農業への転換・移行に関する総合的研究「科学研究費・基盤研究(2009年~2010年)-「成熟期有機農業」を素材として-』の一環として開催されました。会には、日本有機農業学会の会員など研究部会の関係者以外の人も参加できるというお知らせをいただいて参加させてもらいました。

このプロジェクトは、「展開事例、技術論、歴史・理論、国際比較」から構成されています。第5回目の今回は、国際比較研究のテーマとして、①「欧州(フランスの事例を中心)の動向」と「韓国(親環境農業政策)の動向」をふまえて日本との比較検討を行います。そして、②最近の有機認証制度をめぐる国際動向に関して、特にIFOAM(アイフォーム:国際有機農業運動連盟)の「参加型保証システム(PGS)」を取り上げて検証します。
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【有機農業における政策展開の国際比較】
5月30日(日) 
13:00 代表あいさつ                 
      中島紀一 茨城大学 農学部 
13:20 国際比較研究の視点と座標軸について 
             古沢広祐 国学院大学 経済学部
13:35 欧州の有機農業政策の動向(フランスを中心に)
            石井圭一 東北大学 農学研究科
14:15 韓国の有機農業政策の動向
             金氣興(キム・キフン) 東京大学東洋文化研究所 
              (汎アジア部門、日本学術振興会外国人特別研究員)
15:10 認証制度を巡る国際動向(IFOAMの参加型保証システムを中心に)
             澤登早苗 恵泉女学園大学 人間社会学部
<質疑、討論>
15:50 全体討論・・・今後に向けて
17:00 閉会
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■発表内容の概要
研究会では、代表の茨城大学農学部の中島紀一先生から、これまでの経緯とプロジェクト全体に関する説明がありました。それに加えて、有機農業を取り巻く世界的な経済状況などについてのお話がありました。
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【国際比較研究の視点と座標軸】
続いて国学院大学の古沢先生からヨーロッパとアメリカを中心に成長を続けている世界の有機農業とオーガニック市場を巡る状況の紹介がありました。それを踏まえて国際比較や今後の方向性を考える座標軸の説明、そして「これから何を目指していくべきなのか」について提案がありました。

印象的だったのは、これまではヨーロッパやアメリカを中心に、大手スーパーマーケットチェーンなどの参入によって国境を越えた市場流通の拡大が進んできましたが、これに伴う画一的市場拡大主義は必ずしもすべての生産者に利益をもたらしてこなかった側面もあるという指摘でした。開発途上国の小規模農家などがその代表です。そのことから、これからは例えばファーマーズマーケットや、消費者と生産者が直接つながる「提携」などの地域に根差した多元的な市場形成や非市場的な関係形成を重視していくことが重要ではないかと提案されました。報告の概要は以下の通りです。

<オーガニック市場の拡大と環境・安全・社会的公正>
・オーガニック市場の世界的な急拡大(北米と欧州の市場で約5兆円:2008年)
・有機食品分野の高い成長性(健康・環境・社会公正を求める消費者増加)
・大手資本の参入と競争の激化(エコ商品、オーガニック商品、フェアトレード)
・小規模農家も参加可能な認証制度(参加型保証システム「PGS」)の必要性
・IFOAMの「社会的基準」(国際労働機関「ILO」の労働基準など)の紹介
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<有機農業における制度化の動き>
1980年:IFOAM(国際有機農業運動連盟)「オーガニック基礎基準」策定 
1988年:フランスで国による「有機認証制度」(検査・認証)がスタート
1990年:アメリカで連邦政府による「有機農業生産法」が成立 
1991年:EUで有機農業認証基準(有機認証制度)が統一 (EEC/2092/91)
1992年:EUの「農業環境政策(環境直接支払い)」を制定 (EEC/2078/92)
1999年:コーデックス食品規格委員会(世界的なオーガニックの共通基準) 

「欧州:政策的な支援体制(農業環境政策)→農地が10%近い規模の国も」 「米国:民間中心(ビジネスが市場を牽引)→有機農地はまだ0.5%だけ」
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<世界史的な展開としての有機農業運動の座標軸>
・有機農業(環境保全型農業)の原型はアジアの農業
・1970年代から日本有機農業研究会が推進してきた「産消提携」運動
・欧米で広がる「CSA(地域が支える有機農業)」への継承(※URGENCI)
・これまでは→市場流通の拡大(画一的市場拡大主義「グローバル化」)
・これからは→「多元的な市場形成」「非市場的な関係形成」を重視(提携)
・IFOAM『有機農業の原則(健康・環境・公正・配慮)』の推進を日本から!
※URGENCI(ウージャンシー):生産者と消費者のパ‐トナ‐シップの国際ネットワ‐ク
http://organic.no-blog.jp/weblog/2010/03/post_589d.html
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【欧州の有機農業政策の動向】
次に東北大学の石井先生からフランスの事例を中心に、順調に成長を続けるヨーロッパのオーガニック食品市場と有機農業に関する振興政策の動向について詳しい報告がありました。 とても印象的だったのは、1960年代に社会運動として始まったフランスの有機農業運動は、「有機農業の認知」という目的をすでに「完全に達成した」という言葉でした。日本では、まだまだ有機農業(オーガニック食品)に関する普及啓発が十分にはされていないので、我彼の差のあまりの大きさに驚くやら羨ましいやら自分の力不足が情けないやら…。とても複雑な気持ちになりました。

そして、フランスでは「有機農業の普及と制度化」は、慣行農業の持続可能性を向上させることに貢献しているとのことでした。このため、有機農業が生産者からも消費者からも「尊重されて、財政的な支援の対象となっている」そうです。また、農業環境政策による環境直接支払い制度などの支援策が有機農業への転換や維持に貢献していることを改めて確認させてもらいました。このことは、有機JAS法による違反した際の厳しい罰則や農薬を使えないことによる収穫量の低下(減収)のリスクを負って、更に有機認証を受ける際の煩雑な業務と経費などのコスト負担はあっても、経済的なメリットが(現状では)あまりない日本の有機農業に関わる生産者が置かれている状況とのあまりの違いの大きさを改めて考えさせられました。

また、有機農業の振興政策では、生産面だけでなく消費面で有機食品の「需要の創出」についても「EUや国の役割」として位置づけられていることを確認できました。フランスでも、1999年から有機農業やオーガニック食品の認知度を高めるためのキャンペーンが「消費者向けの情報普及対策」として官民をあげて行われているそうです。報告の概要は以下の通りです。
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<EUにおける有機食品・農産物の展開>
・EU諸国のオーガニック市場の占有率
    3~6%以上:オランダ、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、オーストリア
・オーガニック食品の購入場所(順位毎)
    スーパー、マルシェ(市場)、有機専門店、農場、商店
・EU主要国のオーガニック食品売上高(順位毎)
    ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、スイス(独・英で約1兆円:2008年)
・有機専門店(ビオコープ:1986年~)の売上げ
    329店舗、約550億円(前年30%増:2008年)

・EUにおける有機食品・農産物の展開
EUでは2007年に有機農業による生産面積が780万haに達している。これは、全農地の約4%にあたる。有機農産物やオーガニック食品の売上が約250億ドル(160億ユーロ:約2兆5千億円)に達した。

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『本来農業への道/持続可能な農業に関する調査プロジェクト2007年』
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・EUにおける有機農業政策の体系
「EUの役割」:認証基準の制定、EU共通ロゴマーク、研究開発助成、販路開拓・需要創出 (加盟国への助成)、生産者助成(環境直接支払いなど)
「加盟国の役割」: 検査制度の運用(国)、研究・開発・普及(国・地方)、有機食品・農産物業界 の組織化(国・地方)、販路開拓・需要創出(給食なども:国・地方)、有機農業への転換・維持助成の実施(国・地方)

1991年 有機食品表示に関するEU規則(2091/91)の採択「農産物の有機生産方法および生産物、食品の表示に関するEU規則」(※有機認証制度)
1992年 環境直接支払いに関するEU規則(2078/92)採択「環境保護と田園の景観維持の要件と両立する農業生産方法に関するEU規則」(※環境直接支払い制度)

・有機農業の推進に関する考え方(※EUのオーガニック行動計画2004)
「消費者ニーズに応える有機食品の流通販売は市場により評価されるべき
 で、有機農業(市場)の発展は市場メカニズムによる」
「有機農業の原則に基づく農地利用は、環境保全や家畜福祉の向上、農村振興などの公共財の供給に寄与(する)、このため有機農業の発展は社会が推進すべき
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※農文協 食と農の総合情報センター
「有機農業に対する(EUとアメリカ)政府の取組姿勢」
http://lib.ruralnet.or.jp/libnews/nishio/nishio024.htm
「OECD加盟国の農業環境問題に対する政策手法」http://lib.ruralnet.or.jp/libnews/nishio/nishio160.htm
「EUでは農地を良好な状態に保つのが直接支払の条件」
http://lib.ruralnet.or.jp/libnews/nishio/nishio161.htm

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・EU15カ国の環境直接支払い制度の取り組み農業環境対策として支払われる環境直接支払いに関する契約面積は、国による格差が大きい。面積の多い順に、オーストリア、フィンランド、ドイツ、スウェーデン、イタリア等となっている。 


・EU諸国の有機農業経営数と生産面積
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環境直接支払いの契約面積と、有機農業の実施面積率を比べてみると基本的には相関関係が認められる。フランスの事例を考えても、有機農業による生産面積の増加に対する助成金の寄与は大きい。

実施面積率の高い国(2001年)は、以下の通り。オーストリア(11.3%)、イタリア(7.94%)、フィンランド(6.6%)、デンマーク(6.51%)、スェーデン(6.3%)、イギリス(3.96%)、ドイツ(3.7%)、フランス(1.4%)。


<フランスに見る有機農業の制度化>
・フランス有機農業の系譜
1964年 自然と進歩協会設立(有機農業協会設立は1962年)
1980年 農業基本法「合成化学物質を利用しない農業」について明記
              翌年の政令がその生産要件を規定
1988年 有機農業を公式名称とし、オーガニックロゴの使用には「有機認証
      機関による契約細則の認可(検査・認証)」を義務化
1998年 フランス政府が有機農業振興5ヵ年計画を策定
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・有機農業振興5ヵ年計画(1998‐2002)
背景:1980年代リードしたフランス有機農業の凋落
目標:2005年までに 
               有機農業経営 2.5万経営(農業経営の約3.8%) 
               有機農業面積 100万ha (農地面積の約3.6%)
措置: 1)有機農業への転換助成拡充
      2)生産部門ごとの業界組織化支援
           3)不正防止の強化、有機畜産の基準強化
           4)農業専門教育における浸透、競争的研究資金
           5)一般消費者向けの情報普及・啓発 

・有機農業センターの取組と有機農業振興
  「地域レベルのプラットフォームの形成」 
1)農業者や技師に対する研究開発成果の普及
  →啓発と技術力の向上
2)技術・経済的な経営モデルの構築
  →①転換の際の助言指導の改善②転換に伴う不安の解消
          ③技術的制約の克服④有機システムの経済性の向上
3)有機給食の支援
  →①地域の販路拡大②有機食品の付加価値化③地域消費者の啓蒙
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【韓国の有機農業政策の動向】
石井先生の報告の後に、最初の質疑応答の時間がもたれました。EUの有機農業政策に関する興味深い報告に対して、様々な角度からたくさんの質問が出ました。それに続いて東京大学東洋文化研究所で日本と韓国の有機農業に関する研究を続ける金氣興(キム・キフン)さんから韓国の有機農業と環境保全型農業を表す「親環境農業」について報告がありました。

韓国の有機農業は、1970年代なかばから先駆的な生産者団体(「正農会」や「韓国有機農業協会」など)の自発的な努力によって始まりました。その後、特に1990年代に入ってからは、政府主導で政策的な支援策の導入を含めて推進されてきたといいます。韓国では、有機農業と無農薬から減農薬までを含めた農業を、環境にやさしい農業の総称として「親環境農業」と呼んでいます。

気候条件が日本に近い韓国では、1997年に農業環境政策に近い「環境農業育成法」を施行しました。そして1999年には環境直接支払い制度が導入されました。2001年に「親環境農業育成法」が施行されて「親環境農産物認証制度」が導入されました。その結果、この10年間で有機農業と環境保全型農業を著しく発展させています。有機農産物の割合は、転換期間中もいれるとすでに全農地の約0.5%を占めるまでになっているそうです。日本の有機農産物の生産割合が0.18%(2008年)ですから、韓国よりも先に有機農業運動が始まった日本のすでに3倍近くに達していることになります。EUにしても、韓国にしても「環境直接支払い」制度が有機農業の発展に対して(消費面でのオーガニック食品の普及啓発と合わせて)、確実な成果を上げていることがわかります。
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<1990年代から親環境農業政策の流れ >
1993年:農政に初めて「環境農業」を導入
1994年:農林部(農水省)に「環境農業課」の設置
1997年:「環境農業育成法」(1998年12月、実行)
1998年:農民、消費者、政府からなる「農・消・政審議会」を設置
      「親環境農業元年」を宣言
1999年:親環境農業育成計画の策定
       親環境農業直接支払制度の導入
2001年:「親環境農業育成法」に改正
       親環境農業育成5ヵ年計画の実施
       親環境農産物認証制度の施行

<親環境農産物の認証別種類と基準> 42657a97.png
 
出所:韓国農林水産食品部「親環境農業育成法施行規則」
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<韓国農業政策の方向: 「農業・農村総合対策」(2004)>
背景:93年ウルグアイラウンド交渉以降、本格的な開放体制に転換により国際的に競争力を持つ農業を育成。2013年までの基本方向性を示す。
①農業政策:市場志向的構造改編(大規模農家)、親環境・高品質農業(小規模農家)の推進など
②所得政策:直接支払の拡大(価格支持⇒所得支持)、農外所得(ツーリズムの活用や加工食品の開発)増大など
③農村政策:農業生産の空間⇒生産・定住・休養の空間への概念
財源:119兆ウォン投・融資(2007年の補完対策により2.9兆ウォン増額)

※直接支払い制度の拡大
①水田農業直接支払い、米所得補填直接支払い制度の改編
②親環境直接支払い制度(環境直接支払い)の強化
③条件不利地域直接支払い・景観保全直接支払い制度
    予算比重:2003年9.4%⇒2008年22.6%⇒2013年22.9%
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【有機認証制度をめぐる国際動向】
最後に、ご自身も有機農業の生産者である恵泉女学園大学の澤登早苗先生から、世界の有機農業をリードしてきた国際NGO「IFOAM(アイフォーム:国際有機農業運動連盟)」のオーガニック基礎基準による有機認証制度の歴史が紹介されました。

IFOAMは、1980年に各国の有機農業団体のオーガニック基準と有機認証に関する現場で豊富に蓄積された経験をベースに「IFOAMオーガニック基礎基準」を策定しました。以来、「IFOAM基礎基準(有機基準を作るための基準)」は、世界各国の政府や有機認証団体による基準や検査システムを構築するための国際ガイドラインとして尊重されてきました。EUのオーガニック基準や「有機認証制度(EEC/2092/91)」を構築する際には、IFOAMのメンバーが中心的な役割を果たしました。また、「コーデックス(CODEX)食品規格委員会」が国際的なオーガニックガイドライン(国際基準)を策定する際にもIFOAM基礎基準が原案として採用されました。 

Pgs一方で、オーガニックの検査認証にかかる手間や有機認証料は開発途上国の小規模生産者には経済的な負担が大きすぎて、その仕組みに参加できないという問題が起きていました。その対応として最近注目されているのが生産者と消費者の協働による「参加型認証制度(PGS)」です。このPGSがインドや南米、アフリカなどで広がっている状況について報告がありました。

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<IFOAM基礎基準をめぐる近年の動き>
1980年 「IFOAMオーガニック基礎基準」作成⇒“基準のための基準”
                (オーガニック基準を作る際に参考にする基準)
1992年 「IFOAM認証団体認定指標」承認⇒“認証の同等性を確保”
                (有機認証団体を認定するための指標)
1997年 「第3者認定組織 (IOAS) 」設立⇒“団体間の同等性”
               (有機認証団体を認定する組織)
1998年: IFOAM基礎基準の対象を拡大
               「有機生態系」、「養殖」、「繊維製品の加工」、「森林管理」
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<開発途上国の農民支援>
・2000年:「I-GOプロジェクト(IFOAM Growing Organic Project)」
アフリカに代表される開発途上国の有機農業支援のために、欧州の開発援助団体から大型助成金を得て実施
・2003年:「ローカル市場プロジェクト」
アジアやアフリカ等開発途上国を中心として有機農産物や有機食品のローカル市場、マーケティング開発を推進。その延長として「参加認証制度(PGS)」の導入を検討。
・2004年:IFOAMがラテンアメリカ・カリブ有機農業運動団体と共催で代替認証システムに関する国際ワークショップを開催
①開発途上国の小規模農家が国際的なオーガニック市場にアクセスするためのグループ認証制度の整備
②ローカルマーケットの開拓:第3者認証不要な地域では利害関係者による「参加型認証制度(PGS)」による質と信頼の確保を推進
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「参加認証制度(PGS:Participatory Guarantee System )」導入の背景
・有機農業が持つ他面的な側面を評価できる
・生産者と消費者の協働による確認方法
・小規模農家、地域流通における認証経費の削減
・途上国では文盲率の高い(識字率の低い)国でも可能
・FAO(国連食糧農業機構)もPGSを推奨(2009年7月)

「参加認証制度(PGS)」:定義(2008年イタリアIFOAM総会で決議)
:PGSとは地域に焦点を合わせた品質保証制度である。PGSは利害関係者の積極的な参加に根差している生産者を認証する制度であり、信頼、社会的ネットワーク、知識交流の基盤の上に成立する。
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<参加認証制度(PGS)のまとめ>
①国際流通のオーガニックビジネスの拡大
 IFOAM有機農業運動における基準、認証、保証システムの変化
 オーガニック基準・認証制度など第3者認証の普及(欧米先行)
   ⇒ 生産者保護のはずが生産者負担の増大
   ⇒ 有機農業の豊かさが伝わらない
  ⇒ PGS(参加型認証制度)への移行
②「地産・地消」、「CSA(地域が支える有機業)/TEIKEI 提携)」、「ローカルマーケット」への関心の高まり
    ⇒IFOAMがもうひとつの保証システムとしてPGSを普及。PGSは有機
   農家や消費者の教育を通じた普及、有機農産物市場の拡大に有効。