8b99932b.jpg
2012年11月16日~18日にニーダーザクセン州の州都ハノーバーで開催された第34回「ドイツ緑の党大会」に、「緑の党 Greens Japan」の共同代表、長谷川羽衣子さん、運営委員長の漢人明子さん、それに国際局長の郡山昌也の3人が来賓として招待されて参加してきました。今回の招待については緑の党を母体とするシンクタンク(政治財団)、ハインリッヒ・ベル財団の全面的な支援を受けました。3日間の党大会の大きなテーマは党の新しいリーダーシップ、ヨーロッパの未来(EU政策)、社会政策や外交政策などでした。今回は、初めて原発・エネルギー政策が中心的な課題とならない大会でした。ドイツでは、2022年に向けて脱原発と再生可能エネルギーへの転換が進んでいるからです。脱原発政策では、高レベル放射性廃棄物である使用済み核燃料の最終処分地問題について、中間処理施設で有名なゴアレーベンを抱える州での開催ということもあり、白熱した議論が交わされていました(写真は最終日の長谷川さんスピーチ後のステージ)。
http://greens.gr.jp/world-news/4067/
※参考映像『TBS報道特集「独メルケル首相 脱原発決断の裏側」2012.3.24』
http://www.dailymotion.com/video/xpo4zj_yyyyyy-yyyyyyyy_news?search_algo=2#.UQXPt7_eSOI
「高レベル核廃棄物輸送阻止闘争2011年の陣始まる/ゴアレーベン」
http://tkajimura.blogspot.jp/2011/11/blog-post_23.html
5a269706.jpg
本大会は2013年1月に行われる地元ニーダーザクセン州の州議会議員選挙と9月に予定されている連邦議会選挙に向けたキャンペーンのキックオフ集会でもあります。※州議会選挙の結果は社民党と緑の党が保守連合政権に僅差で競り勝って「赤と緑の連立政権」を樹立!この結果、州議会の代表で構成される連邦上院は、中道左派連合が主導権を握る「ねじれ国会」になったようです(欧州緑の党HPより(2013.1.21))。
http://europeangreens.eu/news/influential-gain-greens-germany-elections-voters-look-alternatives

17bba8ce.jpg
【参加民主主義を実体験】大会では、参加者による2013年の「政党プログラム」への投票や「理事会メンバー」および連邦議員や欧州議員などで構成される「連邦評議会委員」の選挙も行われました。この党大会には、全国16の州や市町村の地域組織から会員の代表者(代議員)や地方・連邦議会議員、首長など総勢で820名が参加。取材に来たマスコミなど関係者も入れると1500人近くが参加しました。若いメンバーからベテランまで多様な年代が参加した会員からは、議案に対する多くの質問や修正提案(動議)が出されて、担当する議員などからは持ち時間を超過して熱心な説明がされるなど活気あふれる議論が行われました。今回、実際に参加させてもらって、緑の党が国会議員だけがすべてを決める「議員政党」ではない「参加型民主主義」を実践する政党であることを体験することができました!(ドイツ緑の党公式HP)
http://www.gruene.de/partei/bdk-in-hannover/heimat-europa.html

2ee8d616.jpg
【ドイツ緑の党大会への招待】今回の招待の目的は、昨年7月に設立されて2013年夏の参院選に挑戦する日本の緑の党のこれまでの経緯や、福島原発事故後の脱原発の状況などに関して情報を得ること。また、反核・反原発運動から誕生したドイツ緑の党の30年におよぶ組織運営や選挙戦略などに関する経験を日本の緑の党に伝えること。それにお互いの最近の活動や2013年選挙情勢などについて情報交換することです。ドイツ側は、特に日本における脱原発運動やキャンペーン、市民社会(NGO/NPO)との協力や総選挙や参院選への取り組みについて強い関心を持っていました。3日間の党大会の合間には、幸いなことにぜひ意見交換がしたいという大物政治家の皆さんと個別のミーティングも持つことができました。

077ac826.jpg
【大物政治家との会談も】緑の党として、(2011年の福島原発事故の影響を大きく受けて)ドイツで初めての州首相となったバーテン・ビュルテンブルグ州のウィンフリート・クレッチマン州首相とも懇談の機会を得ることができました。他には、欧州議会で第4勢力である欧州緑の党共同代表に選出されたばかりのライハルト・ビュテイコファーさんと事務局長のジャクリーン・クレーマーさん。何ども日本を訪れてくれている連邦議会議員団の会派副代表で再生可能エネルギー担当のベアベル・ヘーンさんらとも個別に打ち合わせを持つことができました。世界90カ国にある緑の党ネットワーク(グローバルグリーンズ)の中でも、約6万人の会員と70人近い国会議員を擁する最もパワフルなドイツ緑の党による、夏の参院選で議席獲得に挑戦する日本の緑の党を支援しようという熱い想いの伝わるとても有難い機会でした!

99b5eeb7.jpg
【理事会(執行部)メンバーの選挙】本大会のひとつの山場は、二日目の会員による共同代表を含む理事会(執行部)メンバーと全国評議会委員の選挙でした。実は、2012年に初めて行われた衆院選向けの「特別代表」を選ぶ(党内)予備選挙に出馬した共同代表(2004年~)のクラウディア・ロートさんが、特別代表には選ばれずに、しかも意外にも低得票率という選挙結果でした。それを受けて、共同代表選挙への出馬辞退も考えたロートさんでしたが、長年にわたって共に戦ってきた仲間たちの励ましを受けて出馬を決意。その得票率にマスコミを含めて全国から注目が集まりました。会員による投票は、電子投票で行われました。その結果が即時に集計されて、グラフで得票率が表示されます。

d4b5455d.jpg
【ジェム・オズデミルさん】参加したメンバーたちは、その結果をハラハラしながら見つめます。ロートさんは、一度は諦めかけた党代表の座でしたが、「来たるべき2013年の総選挙で勝つために自分にもう一度やらせて欲しい」と力強く演説。その結果、8割を超える高得票率を獲得しました!会場全体からの大きな祝福を受けて、これまで一緒に共同代表を務めてきたジェム・オズデミルさんと、引き続きその職責を担うことになりました。代表選での演説も情熱的で迫力のあるものでしたが、党大会初日からの大会を引っ張る共同代表ふたりによる、2013年の総選挙に向けてメンバーを鼓舞する「なぜ、いま緑の党が必要なのか」を伝える情熱溢れるスピーチにも圧倒されました。

46adf0e5.jpg
【全国評議会委員の選挙】党(会員組織)と連邦議会(議員団)との調整という重要な役割を担う「全国評議会(連邦議会議員、欧州議会議員、ユース組織代表らで構成)」の委員に選ばれるかどうかは、国会議員の皆さんたちにとってもかなり重要なことのようです。昨年のユーロ危機への対応で活躍した経済政策の専門家で連邦議員のゲルハルト・シックさんも、スピーチの前には集中して演説内容を練り上げていました。昨年の東京で開催された世界銀行・IMF年次総会に、緑の党を代表して参加していたシックさんは、「ドイツでは、創設者世代の影響力が大きく、(40代の)若手が責任あるポジションにつくのは大変だ」と言っていました。ところが投票の結果、シックさんは党の創設メンバーのひとりで「(衆院選)特別代表」に選ばれた元環境大臣、ユルゲン・トリティーンに続く、堂々の第2位の得票率で評議員に選ばれました!ドイツ緑の党の、議員団の「層の厚さ」と選挙に向けた機動性を感じた瞬間でした。

d244d9df.jpg
【ゲアハルト・シックさん】今後もヨーロッパの経済危機は続くと思うので、シックさんのような若手で専門性の高い議員が活躍する場が増えるはずです。もし彼らが今年の総選挙で勝って連立政権につけば、欧州緑の党が中心になって提案している「グリーンニューディール」政策が経済大国のドイツで導入される可能性があります。この約10年で、風力や太陽光発電など再生可能エネルギーや有機農業(オーガニック食品)などグリーンな産業で40万人近い雇用を生み出してきたドイツ経済の今後に注目です!「グリーンニューディール」政策に関しては、シックさんがハインリッヒ・ベル財団の機関紙に投稿した論文「現在の危機に対する回答としてのグリーン・ニューディール」の日本語訳がありますので、ご興味のある方は是非ご一読下さい!
「green_new_deal_japanese_gehard_schick.pdf」をダウンロード

314ba98d.jpg
【ベアベル・へーンさん】また、日本で昨年夏の緑の党設立総会にもドイツを代表して参加してくれたベアベル・ヘーンさん(国会議員団会派副代表)。なんと今回の投票では「特別代表」に選ばれたカトリン・ゲーリング・エッカルトさんをも凌ぐトップの得票率で当選しました!ドイツでも人気の政治家だとは聞いていましたが、目の前でそのことを実感しました。こんな有力な政治家が、日本の脱原発を実現するために、緑の党を応援してくれていることに改めて深く感謝したいと思いました!(ノルトラインウェストファーレン州の前環境・農業大臣だったヘーンさんとは、この大会の一週間後に同州の州都ボンで開催された国際NGOの「IFOAM(国際有機農業運動連盟)」の40周年記念イベントに特別ゲストとして参加してもらい、うれしいことにそこでも再会しました!)https://bit.ly/3IlYDrq

e1fa117f.jpg
【理想主義的な政策を実現】それにしても、評議会に立候補した多くの議員たちが、それぞれの経験や専門性に基づいて、理想主義的な政策(反核・反軍拡・平和・脱原発・再生可能エネルギー・有機農業・ジェンダー・移民の権利・格差社会の是正など)を、政権を獲って実現していこうと堂々と演説しているのを聞いて、こんな政党が実在することに興奮してとてもまぶしく感じました!今回、会員による選挙で共同代表や理事会役員、連邦評議会委員たちが選ばれました。写真を見てもらうとわかりますが、緑の党ではジェンダーバランスに配慮して、女性議員が活躍できるような仕組みがありますが、この評議員も7人が女性で男性は6人です。さすがですね!

c647e7d8.jpg
【政治は言葉だ!】評議会委員の選挙では、候補者たちひとりひとりによる情熱的な演説は迫力満点でした!その真摯で熱を帯びた議論や選挙の様子は、「やはり政治は言葉だ!」と思わせてくれる躍動感がありました。しかも、緑の党はこの30年間で積み上げてきた経験と実績がありますし、選挙結果によっては、再び連立政権の一角を担う可能性が十分にあります。今回の日本における衆院選では、実は得票率や得票数を前回の大敗した衆院選の時よりも減らした自民党が圧勝しています。このことが示しているように、日本の「小選挙区制度」は、死に票の極めて多い民意を反映しない非民主的な制度です。それとは違い、ドイツでは「比例代表制度」を主にした制度が採用されているので、緑の党も獲得票数に比例した議席を得ることができます。それに加えて、これまでの実績から十分に第3党を狙う議席獲得が可能なのです(写真はヨーロッパ政策について熱弁を振るうラインハルト・ビュテイコファー氏。欧州議会緑の党共同代表。2004~2008年までドイツ緑の党共同代表)。

d53af6cc.jpg
【緑の党はもう中道!?】創設メンバーのひとりで、「2013年衆院選向けの特別代表」に選ばれた元環境大臣のユルゲン・トリティーンさんは、「30年前には“頭がおかしいんじゃないか?”と言われた反核・脱原発・再生可能エネルギーなど平和・環境政策は、緑の党が主張して実現することで社会の中道層を“緑”に変えてきた」「もう緑の党は中道なんだ!」と力強く訴えていました。また「経済と環境を両立させること」が必要であること。経済成長率は小さくてもみんなが十分に繁栄できる社会が求められること。税金は裕福な人から多く取るべきなど、再分配の必要性についても言及していました。

a2750318.jpg
必ず男女ペアで共同代表制を取る緑の党では、女性の特別代表にカトリン・ゲーリング・エッカルトさん(文化政策担当/ドイツ連邦議会副議長)が選ばれました。これまでの選挙の顔としては、元消費者保護・食料・農業大臣で有機農業(オーガニック食品産業)の振興策を導入したレナート・キュナストさんが人気でしたが、今回は(ひと回り若い世代の)カトリンさんが選ばれました。ここでも議員の「層の厚さ」と、政権を狙う選挙に向けて新しい世代が出て来ようとしている党の勢いを感じました。この2012年の衆院選「特別代表」キャンペーンは、マスコミの注目も集めてとても効果的な取り組みだったようです。

c5895b4d.jpg
【進むエネシフ】今回の特徴は、初めて原発・エネルギー政策が中心的な課題とならなかったことでした。これは、昨年3月の福島原発事故を受けて、保守政権のメルケル首相が2022年までの原発廃止を決めたことにより、脱原発と再生可能エネルギーへの転換が進んでいることを反映しています(※この脱原発政策は緑の党が社民党との連立政権を担っていた2002年に電力業界との合意の元に成立させました)。また、緑の党は中道左派のSPD(社民党)も保守派のCDU(キリスト教民主同盟)のどちらも過半数を取れない状況の中、キャステイングボードを握る可能性のある政党として注目されていて、すごい数のマスコミが取材に来て連日テレビや新聞各氏に大きな記事やニュースが報道されていました(写真は再選された共同代表と理事会メンバー)。

aa50b139.jpg
【エコロジカルで持続可能な経済】ドイツ緑の党の共同代表も務めたビュテイコファーさんとの個別の対談では、経済政策について聞きました。彼は「エネルギー政策と経済政策を合体させること」がポイントだと言います。脱原発を実現するためには再生可能エネルギーを導入する必要があります。ドイツでは、この20年の間に、実際にこの分野で数十万人規模の新しい雇用を創出してきました。緑の党は、このエコロジー的成長を今は目指しているということでした。ドイツでも有数の工業地帯を抱えるバーテン・ビュルテンブルグ州のクレッチマン州首相も、経済成長か脱経済成長かではなく「クオリティ面から見た成長」という概念を使うと言っていました。クレッチマン氏は、エコロジカルな成長。質的な成長など、クオリティを重視する経済政策を掲げています。

620e6a6a.jpg
【シュトットガルト市長】40年間も保守党の市長が続いたこの州都であるシュトットガルト市長に、昨年選ばれた緑の党のフリッツ・クーン氏は「サスティナビリティ(Sustainability)=持続可能性」は経済を無視しては成り立たない。サスティナブル(持続可能)な経済が重要であると述べました。僕も、ドイツのフランクフルトにあるオーガニック農場(ドッテンフェルダー農場)で研修させてもらったり、ボンにある有機農業に関する国際NGO(IFOAM:国際有機農業運動連盟)の国際理事を務めたりしてきました。また大学院(LSE)に留学していたイギリスのロンドンでも消費者として感じましたが、環境に優しく健康にもいいオーガニック食品やフェアトレード製品の市場は、ヨーロッパやアメリカでこの15年間で飛躍的に発展しています。個人的には、このようなエコ(グリーン)でフェアな、そしてサスティナブルな経済はどんどん成長するといいと思っています。そのことで、環境にも生産者にも消費者にもメリットがあるからです。https://bit.ly/459VBAx

e17710fa.jpg
【福島の若い母親と子供たち】最終日には、日本から参加した共同代表の長谷川羽衣子さんが、スピーチに立ちました。まずは、今回の招待へ心からの感謝の意を伝えました。そして、福島では原発事故の影響はまだ続いていること。子供たちは生まれながらにして「大きく重い負の遺産を背負う」ことになってしまったことを伝えると、会場からは大きな反応がありました。でも、その状況に対して若い母親たちが立ち上がって、脱原発を訴えていること。そして、自分もそのひとりであることを力強く伝えました。それに加えて、海外ではあり得ないような1億円以上もかかる供託金を含む選挙資金の問題や、小党に不利な小選挙区制度など「緑の党」のような政党が登場するには困難な条件が多い状況であることも紹介しました(「緑の党」公式HPに、長谷川さんの日本語によるスピーチ映像リンクがあります)。
http://greens.gr.jp/world-news/4067/

8ce05b80.jpg
【日本でも緑の党で議席獲得】でも、今回の党大会で、保守王国でダイムラーやポルシェなどの世界的自動車メーカーの本拠地でもあるバーデンビュルテンベルク州の州首相とシュトットガルト市長を緑の党が担っていることなどを知ったこと。また直接本人からそのご苦労などを聞くことができてすごく勇気をもらったことを伝えました。最後に、今年の夏の参院選で議席を獲得する決意を伝えました。その決意を秘めたスピーチに対して、全国から集まった820人の代議員たちから力強く温かい賛同と支援の拍手をいただきました!今回の党大会への参加を通じて、今後の協力体制に向けて強固な土台を築くことができました。(ドイツ緑の党HPに党大会の関連記事が掲載されています)
http://www.gruene.de/partei/bdk-in-hannover/heimat-europa.html

d6693e7a.png
【ステージで温かい激励】長谷川さんのスピーチの後に、今回の招待の窓口になってくれた理事会メンバーのマルタ・スピッツさんと共同代表のクラウディア・ロートさんに呼ばれて、漢人さんと僕も一緒にステージに合流!首には「緑が勝つ!」と書かれた緑色のマフラーをかけてもらい、国際的に知られている「原子力?お断り」とドイツ語で書かれた脱原発フラッグを手渡されて掲げました。そして、会場の皆さんからの温かい大きな激励を全身で受けて、本当に感動しました!そして、日本での脱原発実現に向けて力をもらいました。

4c95c393.jpg
この様子は、取材に詰めかけたマスコミ各社により全国に報道されました。以下のリンクは、ドイツ緑の党の公式HPにあげられている長谷川さんのスピーチ(日本語)と最後の皆さんからの激励の映像です。その下は、ドイツの2大公共放送「ZDF」と「ARD」のニュースリンクです。

■Guest speech Uiko Hasegawa on the Green Party 18, November 2012
http://www.youtube.com/watch?v=8GswwVA4f7w&list=UU7TAA2WYlPfb6eDJCeX4u0w&index=4&feature=plpp_video
■ZDF heute.de 09.01.2013 Grüne sind sich grün (緑の党は“緑”だった)
http://www.heute.de/ZDF/zdfportal/web/heute-Nachrichten/4672/25313068/67f671/Gr%C3%BCne-sind-sich-gr%C3%BCn.html?tabNo=0
■ARD tagesschau.de 09.01.2013 Grüne sagen Ja und Nein zu Gorleben
http://www.tagesschau.de/inland/gruenen-parteitag118.html

c15a4df1.jpg
【ハインリッヒ・ベル財団】党大会の後には、19日にベルリンにある緑の党とハインリッヒ・ベル財団の本部を訪問しました。ベル財団では、安全保障部長のグレガー・エルンスト氏が主催する「日独・脱原発円卓会議」が開催されて参加しました。会議には、ベル財団の理事長ラルフ・フックス氏や脱原発・再生可能エネルギー担当者、アジア地域担当者、それに福島に2度もご一緒しているドイツ緑の党の原子力政策責任者ジルビア・コッティング=ウール議員、ベルリン日独センターの副理事長や研究員の皆さん、それに日本とドイツの新聞社が参加しました。テーマは、日独の脱原発における課題と核廃棄物に関する問題やドイツと日本の再生可能エネルギー移行への展望などでした。

bec65eed.jpg
運営委員長の漢人さんからは、日本の緑の党の概要とその歴史について。また、渡独の直前に決まった衆議院選挙のことや2013年夏の参議院選挙への取り組みについて説明しました。また長谷川さんは、京都を拠点に、大飯原発の再稼働反対の大規模なデモを関西で組織したり、実際の現場で体を張って機動隊に排除されたり、各地で行政側との交渉に臨んだりと精力的に脱原発運動に取り組んでいます。その経験から、電源三法交付金などによっていかに税金が地域の原発立地の推進に使われているか、また経済的な依存体制を生み出しているかという説明をするとドイツサイドからは「信じられない…」という大きな反応がありました。そして、多くの質問が飛んでいました。僕はふたりの説明の補足や、広報担当として会議が終わった後にドイツの新聞社TAZのインタビューなどに対応しました(以下は掲載された記事です)。
http://www.taz.de/Gruene-in-Japan-vor-der-Wahl/!106234/

625ce513.jpg
【NoだけではなくYesを】ベル財団のエネルギー政策担当、ドロテー氏によると、この30年間はベル財団も緑の党も「脱原発」。つまり原発にNo!と言い続けてきたが、この10年は別の選択肢を提案できるようになったことが大きいといいます。それは再生可能エネルギーにYes!と言えるようになったことです。これは緑の党が連立政権を担当し、トリティーン氏が環境大臣だった際に「再生可能エネルギー支援法」を導入して、2000年に施行されて以降のことです。原発立地の地元経済のことを考えても、ただ雇用を奪うのではなく廃炉作業も含めて代替産業としての地方分散型の再生可能エネルギー産業を地方に興すことで新たな雇用の創出につなげることが、脱原発政策の実現に追い風となっているそうです。日本でも早くこういう状況を創り出したいと思いました。

fa569566.jpg
【緑の党本部】ベル財団での円卓会議の後に、今回のホスト役を務めてくれた国際担当の運営委員マルタ・スピッツ氏を緑の党本部に訪ねました。もう、外はすでに暗くなっていたので、ベルリン市内のビルが立ち並ぶ一角にあるドイツ緑の党本部の外観はあまりはっきり見ることはできませんでした。でも、忙しい時間の合間を縫って、スピッツさんが本部内部をひと通り案内してくれました。そして、いつか今回僕らが体験したぐらいの規模の党大会を日本でも実現するために、運営委員長の漢人さんが、まだ若いのに緑の党での経験の長いスピッツさんを質問攻めにしました(笑)。

aa51ac07.jpg
内容は、党運営や党の構成員および財政について。党本部の概要と組織構造。そして、党大会の日程やプログラム。会員向けの資料発送のタイミングなど、実務の責任者として聞きたいことはいくらでもあります。スピッツさんは、その質問に対してひとつひとつ丁寧に答えてくれていました。今回は、ヨーロッパの中でもリーダーシップを取っているドイツ緑の党大会を体験し、多くの重要な関係者とも人的なネットワークを築くことができた本当に貴重な機会でした。この経験を、今年の夏に行われる参院選で、日本でも脱原発を牽引する政党の議席をなんとしても獲得するという形で活かしていきたいと強く思いました!この異常に長い記事を読んで下さった皆さん、本当にどうもありがとうございました。今後とも、ご支援のほどよろしくお願いします!

db82c667.jpg

5a82d19d.jpg

3ea9bbc5.jpg

74c7b65a.jpg

12364ff4.jpg

a5e58b89.jpg

82353efd.jpg

7e43c675.jpg

150a3476.jpg

a8c6c2b8.jpg

76303543.jpg

bb7bc50e.jpg

761c3b94.jpg